
中国語の発音が難しいと感じる理由
中国語を学ぶうえで、多くの人が最初につまずくのが「発音」です。英語や日本語と仕組みが大きく異なるため、何となく聞き取れるけど自分ではうまく発音できない、という悩みを抱える学習者も少なくありません。
中国語の発音が難しく感じられる主な理由は、以下の3つです。
* 声調(トーン)によって意味が変わる
* 日本語にない音が多い
* ピンイン(発音記号)を正確に覚える必要がある
ここからは、中国語の発音の基本構造を順を追って解説していきます。
中国語の発音を構成する3つの要素
中国語の発音は、主に以下の3つの要素で構成されています。
1. 声母(せいぼ)
声母とは、日本語でいう「子音」にあたる部分です。たとえば、「mā(マア)」という発音では、最初の「m」が声母になります。
中国語の声母は全部で21個あり、以下のように分類されます。
* 両唇音:b, p, m
* 舌尖音:d, t, n, l
* 舌面音:j, q, x
* 喉音:h
* その他:g, k, zh, ch, sh, r, z, c, s
似ている音でも日本語にない発音があるため、最初は丁寧に聞き分けて練習することが重要です。
2. 韻母(いんぼ)
韻母とは、日本語の「母音」に近い部分です。声母のあとに続く音で、中国語の意味を決めるうえで大切な役割を果たします。
韻母は36種類あり、主に以下のように分けられます。
* 単母音:a, o, e, i, u, ü
* 複母音:ai, ei, ao, ou など
* 鼻母音:an, en, ang, eng など
この「ü」の音は、日本語には存在しない独特な音です。唇を丸めて「イ」と発音するような感覚ですが、正しく発音するには音声を参考にするのが効果的です。
3. 声調(せいちょう)
中国語最大の特徴ともいえるのが、声調の存在です。1つの音でも声調が違えば意味がまったく変わってしまいます。たとえば「ma」という音には以下のような意味の違いがあります。
* mā(第一声):お母さん
* má(第二声):麻(植物)
* mǎ(第三声):馬
* mà(第四声):叱る
このように、正しい声調で発音しないと通じなかったり、全く別の意味になってしまうのです。
ピンインのルールを理解しよう
ピンインとは、中国語の発音をローマ字で表記する方法です。学習者にとって非常に重要な道具で、辞書や教材でも頻繁に使われています。
ピンインの構成
ピンインは以下の順番で構成されます。
1. 声母(子音)
2. 韻母(母音)
3. 声調記号(アクセント)
たとえば「mā」は、「m(声母)+a(韻母)+第一声のトーン記号」で構成されています。
声調記号は韻母の上に付き、以下のように表されます。
* 第一声:¯(例:mā)
* 第二声:´(例:má)
* 第三声:ˇ(例:mǎ)
* 第四声:\`(例:mà)
日本語のローマ字と違う点
日本語のローマ字読みとは違う発音が多いため、見た目だけで判断せず、正しい音を耳で覚えることが大切です。
たとえば「x」は「シ」に近い音、「q」は「チ」に近い音で発音されます。
中国語の発音を上達させるコツ
正しい知識を得たら、次は実践です。中国語の発音は耳と口を使って繰り返し練習することで、少しずつ上達していきます。
リスニングを徹底する
最初はとにかくネイティブの発音をたくさん聞くことが大切です。YouTubeや語学アプリでネイティブの音声を繰り返し聞き、ピンインと音を一致させて覚えていきましょう。
シャドーイングで発音を身につける
シャドーイングとは、音声を聞きながら同時に口に出して真似するトレーニングです。正しいリズムとイントネーションが身につきやすく、発音矯正にも効果的です。
声調だけを集中して練習する
最初はすべての発音を同時に覚えようとせず、「声調」だけに集中する練習日を設けても効果的です。1つの音を4つの声調で繰り返し発音するだけでも、かなりの効果があります。
自分の声を録音して確認する
スマホの録音機能などを活用し、自分の発音を録音して聞き返してみましょう。ネイティブの音と比べることで、どこが違っているのか客観的に把握できます。
発音は「通じる中国語」の第一歩
発音は文法や語彙と同じくらい大切な要素です。発音が正確でないと、どれだけ単語を知っていても相手には伝わりません。逆に、発音がきれいにできれば、シンプルな言葉でも十分に通じる中国語を話すことができます。
完璧を目指すより、「まず通じる発音」を意識しながら練習を積み重ねていくことが、中国語上達のカギといえるでしょう。